リスクアセスメントってなぜ必要なの?
- リスクアセスメントとは「危ないものに点数をつけて対策すること」
- リスクアセスメントは自分の身を守るための重要なツール
- 従業員にとっては上司に評価されるための自己PRポイントにもなる
リスクアセスメントって最近急に耳にするようになりましたよね
やったことあるけど結局よくわからなかったなー
結構カンタンなので解説していきますね
リスクアセスメントの定義とは
リスクアセスメントとは、事業場にある危険性や有害性の特定、リスクの見積り、優先度の設定、リスク低減措置の決定の一連の手順をいい、事業者は、その結果に基づいて適切な労働災害防止対策を講じる必要があります。労働安全衛生法第28条の2では、「危険性又は有害性等の調査及びその結果に基づく措置」として、製造業や建設業等の事業場の事業者は、リスクアセスメント及びその結果に基づく措置の実施に取り組むことが努力義務とされ、その適切かつ有効の実施のために、厚生労働省から「危険性又は有害性等の調査等に関する指針」が公表されています。
厚生労働省 職場の安全サイトより 職場のあんぜんサイト (mhlw.go.jp)
ざっくり言ってしまうと
「危ないものに点数をつけて対策しましょう」ということです
へー、なんだか難しそうですね
面倒だしやらなくてもいいですか?無視したらどうなりますか?
万一労災が起こった時に
刑事上の責任や民事上の責任される場合があります
リスクアセスメントをやらないとどうなる?
リスクアセスメントは労働安全衛生法において実施することが推奨されていますが、努力義務とされているため直接的な罰則はありません。
しかし労災が発生した場合には労働者に不安全な作業を強制したとして、各方面から責任追及されることになります。
責任には次の4つの種類が挙げられます。
①刑事上の責任
労働安全衛生法違反の罪と刑法上の業務上過失致死傷罪に問われる可能性があります。
-労働安全衛生法違反について
労働安全衛生法は、事業者に対して安全措置義務を課すとともに、両罰規定を設けています(同法122条)。
そのため、同法違反が認められると、実際に違反をした者が罰金に処される(同法116条、117条、119条、120条)だけでなく、会社も罰金に処されます。
-業務上過失致死罪について
安全配慮義務を怠った役員や社員は業務上過失致死傷罪に問われる可能性があります。
②民事上の責任
被災した労働者から会社に以下のような民事上の損害賠償責任を追及される可能性があります。
-不法行為責任(民法709条の一般の不法行為責任、715条の使用者責任、717条の工作物責任)
-安全配慮義務の債務不履行(労働契約法5条、民法415条)
③行政上の責任
労働災害が発生した場合、労働基準監督署からの是正勧告や改善指導、機械設備の使用停止や作業停止等の行政処分等を受ける場合があります。
何度も災害を発生させていると、最悪の場合には操業停止処分が行政から通達されます。
④社会的な責任
労働災害が報道されることにより、社会的評価を下げる可能性があります。
コンプライアンスが叫ばれている近年では、このような悪評は会社のブランドイメージに大きくマイナスとなります。
例えば、ある判例では、化学物質による労働災害について民事賠償を請求された事件で、被告側(会社側)が敗訴した事例があります。この判例では、リスクアセスメントを行っていれば防げた可能性がある災害が発生し、その結果として民事賠償責任が問われました。
また、労働災害時に企業が民事上の責任を負う場合、安全配慮義務違反が認められると、治療費、慰謝料、逸失利益など、労働災害による負傷と因果関係のある損害を補償しなければならないとされています。
このように、リスクアセスメントは単なる建前だけの書類ではなく、企業が持続的に活動するための重要な管理ツールになっています。
一方で、工場は長年の慣習で一定水準の安全は確保されていることがほとんどなので、リスクアセスメントを実施していても実質形骸化している企業が多いでしょう。
しかし、万一労災が発生すると職場長の責任となってしまうので、その時に管理職の方が自分の身を守るためのエビデンスとして適切に実施されたリスクアセスメントが重要になってきます。
罰則はないけど、労災が起こった時のために必要なんだね
従業員にとってのメリットは?
会社のために必要なのはわかったけど
従業員にはなにかメリット?
従業員にとっても結構メリットがありますよ
まず、危険な作業から自分の身を守るツールになります
それに、上司からの評価ポイントになりますよ
最近は安全系スキルを評価項目にしている企業も多いですからね
リスアセスメントに対する重要度は増してきているのですが、実際の知識を持っているのは100人に3~4人というところでしょう
自分が作業者の立場であれば、リスクアセスメントの場で指摘することで危ない作業を回避することが出来るようになりますし、適切な知識をもっていればその場で改善案も提示できます。
さらに、安全を評価できるということは立派な技術ですので上司に対して充分なPRポイントとなります。
覚えることはそう多くないのに高評価となるので、勉強するには非常にコスパのよいスキルとも言えますね
こちらのグラフでもわかるとおり経営陣もリスクアセスメント人材不足を最も大きな課題として捉えています。
安全について指導するコンサルタントとして運営している法人は世の中に多数存在しています。普段の業務の中で経験を積むことで独立も視野に入れることも可能です。
安全系のスキルを持った人材はニーズが高いので差別化できますよ
上からの評価ポイントを稼げそう!
まとめ:リスクアセスメントは身を守るために必要
従来の対策は災害が発生してから原因を調査し、再発防止対策を講じるものでした。
しかし、災害が起こっていない現場でも潜在的な危険性や有害性が存在し、将来的に労働災害が起こる可能性があるため、リスクアセスメントの実施が必要となっています。
また法令上も労働安全衛生法28条の2により、リスクアセスメントは「努力義務」として規定されており、事業者はリスクアセスメントに取り組み、企業が抱える問題点を解消していかなければなりません
それ故に、企業側にも従業員にも正しい知識を身に着け、効果的に運用していくことが求められています。